コルクを抜かずにボトルワインが注げる「コラヴァン」が日本上陸
http://kaden.watch.impress.co.jp/docs/news/1055461.html
CORAVIN
http://coravin.jp/
コラヴァンとは
coravin(コラヴァン)という特殊なワインサーブツールがようやく日本でも発売された。
コラヴァンはコルクを抜くことなく中のワインを注ぐことができるので、酸化を気にせずに好きな時に好きなワインを飲むことができる素晴らしいツールだ。
仕組みとしては注射器のような針でコルクに穴をあけ、窒素ガス(海外ではアルゴンガス)を注入することでワインを押し出し、グラスに注ぐ。
※ちなみに密度(0 ℃ 1 atm)は空気1.293g/L、アルゴン1.784 g/L、窒素1.251 g/L。
針は非常に細いので、コルクの弾力で針の穴は塞がれ空気は通らず、そして内部にはガスが充填されるので酸化の心配はない。
実際に若いワインを定期的に飲み、6カ月経ってボトルの大部分が空になっても依然フレッシュだったというエピソードもある。
そうした素晴らしいサーブツールであるcoravinのそれぞれのポジションでの活用方法を考えてみる。
僕自身は5月になったら購入する予定。
その前に
予め記載するがコラヴァンにもいくつか問題はある。
ワインをサーブするときに、コラヴァン本体より液面が高くなるようにボトルを傾ける必要があるので、澱のあるワインのサーブにはあまり適さない。
液面が高いときであれば、僅かに傾けるだけでサーブできるので大丈夫だと思われるが。
また、当然のことながら
シャンパーニュはコルクが硬いのと気圧の問題で使うことができない。
泡の殆ど抜けた熟成
シャンパーニュはもしかしたらコルクの上半分を折って刺して使うことができるかもしれないが、試したことはない。
コルク穴が塞がったとしても気圧はかなり落ちるであろうし、気圧の関係でコルク穴が塞がらないかもしれない。
なお、こうした鮮度維持の機械で有名なものとしては窒素ワインサーバーがあるが、あれは実はかなり劣化しやすい。高いし。
ワイン宅飲み
自宅でワインを楽しむ際は、もちろんコラヴァンが大いに活躍する。
何かイベントがないと開けにくいグランヴァンを、日々の楽しみとして少しだけ飲んでみたり、はたまた抜栓タイミングの難しいワインを定期的に飲むことでベストの状態で飲むことが可能になるかもしれない(10年単位で酸化しないかは確認か検証が必要だが)。
飲みきるために週末しか開けられなかったワインを、平日少しづつ飲むこともできる。
どのワインを飲むか、という幅が一気に広がるのだ。
ウイスキーやブランデーのように、毎月一度だけ60mlのシャ
トー・ディケムを飲むという喜びを実現することができる。
レストラン・バー
高級ワインのグラスサーブによる単価アップを狙うことができる。
今まで何らかのイベントやフェアでしかグラスサーブできなかった高級ワインについて、常時サーブすることができるようになる。
若しくはペアリングセット5000円に+1000円でメインの赤を2グレード上げるとか (元の金額が大きいので誤差にしか見えないやった!)。
実際に、僕はフランス・
シャンパーニュのランスにあるレストラン・レクイエールでドーヴネの08
ムルソー・レナルヴォーをグラス注文した。
これはとてもじゃないが普段はボトルでしか販売できないような価格のワインだが、その価格ゆえになかなか売ることが難しい。
それを「高いけど払えなくもない価格」でグラスで売ることができると、必然的にワイン好きは注文し単価を上げることができる。
ワイン好きは思ってもみなかった素晴らしいワインをグラスで、抜栓直後の状態で楽しむことができ満足することができるので喜ぶ。
客層にもよるが、客単価を10%程度上げることができると思う。
レストランについての問題は、コラヴァンによるややメカメカしいサーブを、レストランの中で受け入れられる雰囲気を作れるかどうかだ。
また、オペレーションがかなり重い(時間がかかる)ので、その部分のケアも必要。
ワイン会主催者
見過ごされているが、coravinの恩恵を大いに受けることができる。
何をするかというと、ワイン会数週間前にcoravinであらかじめワインを
テイスティングするのだ。
そうすることによって、下記3つの大きなメリットを得ることができる。
・ブショネ・熱劣化などの状態不良ボトルの排除
・シェフが事前にワインの味を知ることによって、より素晴らしいマリ
アージュをすることが可能になる。シェフの技量はより問われることになるが・・・
・抜栓タイミング、デキャンタ利用の有無が事前に検討可能になり、慌てずに済む。
デメリットとしては、キャップシールをはがした状態でワイン会をスタートすることになるが、それはそう大きな問題にはならないかと思う。
また当日のワインの味わいを知る喜びはそれが前倒しされることで失われてしまうが、そこはマリ
アージュの喜びや会の安定運営で補填されるのではないだろうか。
ソムリエとシェフにだけ
テイスティングしてもらい、主催者は
テイスティングしないという手もある。
なお澱のあるワインや上下層を分離させたい熟成ワインについては、
テイスティングを1カ月前などに早めたほうが良い。
また、念のため
テイスティング後はアンチオックスでカバーしたほうが良いかもしれない。気にしすぎかもしれないけど。
インポーター
間違いなくコラヴァンの恩恵を最も受けるポジションにある。
ワインを抜栓することなく、常にフレッシュな状態で営業に使うことができるようになる。
特に、今まで味を紹介し辛かった高級ワインについても、少量づつ抜栓直後の状態で紹介できるようになるのが大きい。
美味しいですと言いつつ味の紹介ができず信用の問題になっていた状態から解放されるのだ。
適切な保温機器+コラヴァンが営業担当の必須ツールになるのではないだろうか。
ワインの酸化ロスも減らすことができるので、コラヴァン程度の投資額はすぐに回収できると思う。
インポーターは一般ユーザーには関係ないが、インポーターへのコラヴァンがもっと普及すればより良いワインが身近になってくる。
ワインショップ
ワインショップについてコラヴァンがどの程度活躍するかは一番見えにくいところだ。
テイスティングをやっているショップであれば、常時ちょっと良いワインの
テイスティングを提供できるようになるかもしれない。
お客さんが買うのに少し躊躇する5000円のワインを、10mlづつ5種類くらい飲むことができれば安心につながるかも?
また、お客さんがコラヴァンを買いに来るのであれば、お店の人がそれを使えるだけの知見が求められる。
なお熟成ワイン用にはニードルを変えたほうが良い。