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鰻は衰退しました


PDF: うなぎの危機 AGORA 2012/7 ※JALの会員誌 あのはてブ禁止サイトとは無関係
https://docs.google.com/open?id=0Bybk-N3pGPupTVp5N0k5djg1UzA
今月のAGORAに掲載されていた鰻記事が良かったので、まとめて感想を書いてみた。


3行で現状;
シラスウナギの生態や漁獲高の減少原因は未だ不明部分が多く、効果的な対応策は不明。
・日本の池入れは安定している(予算的な面もあり?)。中国・台湾が問題。
・鰻関連企業潰れまくり。
・完全養殖は生産量が少なすぎて当分アテにならない


3行で対策;
・とりあえずの対策として、シラスウナギの捕獲制限
・適切な対策がとれるよう生態解明・因果関係解明の研究が必要→東京大学大気海洋研究所等のチーム予算アップ
・中国・台湾の養殖業者との連携が必須
・天然鰻の半永久的な捕獲制限、天然鰻業者への養殖業転換促進。






ファクト  


<成長/養殖フロー>
・天然:南海で孵化→体長3mmの稚魚→10cmのシラスウナギ→川を遡上、5〜10年で冬眠しながら成魚に。
・養殖(国内量):シラスウナギ捕獲・池入れ(20t)→半年で養殖池で成長→出荷(22,000t)


<シラスウナギ>
「池入れ実績」の話。シラスウナギをどれだけ養殖池に入れたかの実績。
(東アジア実績)
・もともとかなりボラタイル。30t(大不漁)〜160t。
・2010-12の3年は初めて大不漁が3年連続した
・日本は約20〜25t程度で多少安定している。シェアの大きい中国が約10〜50tと不安定。
(国内実績)
・その20-25tも50年前と比較すると1/10程度。


<うなぎ関連企業動向>
・5年間で鰻屋は7000→5800軒に減少
・養鰻業者は10年で363→274に減少。
・問屋2軒、専門運送会社1軒(?)が廃業
・高値過ぎて、養殖業者の中には仕入が出来ないところも50軒。大手も含む。


<漁獲高>
・天然鰻は600t(2002〜2004)→230〜250t(2007-2011)と6割減。着実に減っている。
・養殖鰻は21,000〜22,000t(2002〜2011)とそこそこ安定。
・2010年に成功した完全養殖のプロジェクトの目標は、5年で1〜2kg。国内池入れは年間20tなので足りなさすぎ。


<価格>
シラスウナギは過去10年は10〜70万/kg→95万/kg(2011)→230万/kg(2012)
・養殖鰻の出荷単価は900〜1450円(2002〜2007)→1800〜2300円(2008〜2011)
・最強の鰻屋「尾花」の最上のうな重価格は3500円(2006)→4000円(2011)→5500円(2012・3種から2種に)




感想  


(真面目)
シラスウナギの安定供給が鰻産業の存続には必須
・国内よりも、中国・台湾のシラスウナギ池入れ実績が問題。
 →漁の実体解明(ぐぐってないだけかも)と、そもそもシラスウナギの量を増やすための対策が必要。生息域の栄養増など。
シラスウナギ実体を解明した、東京大学大気海洋研究所等のチームの研究費・人員増でボトルネックの解明を。


(不真面目)
・鰻養殖池すげー。ビニールハウスと変らん。
・スーパーの1パック1200〜2000円の鰻って全く売れてないよな・・・
銀むつ=マゼランアイナメの二の舞にはなって欲しくない。http://dain.cocolog-nifty.com/myblog/2008/09/post-8e92.html
・東京の鰻は尾花が最高。今となっては2人で行ってうな重(5500*2)+うざく(2000)+う巻き(2500)=15,500円+ビール等というクレイジー価格だが・・・
http://tabelog.com/tokyo/A1324/A132401/13003509/




参考  


PDF: ウナギ産卵場2000 年の謎を解く - 農林水産技術会議
http://www.s.affrc.go.jp/docs/pdf/2011_01.pdf
ウナギ緊急対策について
http://www.jfa.maff.go.jp/j/press/saibai/120629.html
ガイアの夜明け』ウナギ特集の感想まとめ
http://togetter.com/li/331747
人類は衰退しました 第1話「妖精さんの、ひみつのこうじょう episode1」
http://www.nicovideo.jp/watch/1341379235
銀むつの絶滅話