World Digger

ワインとかITとかとか。

誕生年ワインの選び方


誕生年ワインは難しい  


ワインを飲んでいると誕生年ワインをプレゼントしたり飲んだりすることが時々ある。
ネットショップでも誕生年ワイン専門ショップなどがあり、色々なラインナップがある。
だが、残念なことに多くの場合そうして選んだ誕生年ワインは記念にはなるものの味わいに疑問符が残ることが多い。
例えば、好意を持つ相手に送った誕生年カロン・セギュールとか(有名なハートマークのボルドーワイン)。

これは多くの熟成ワインが味と香りの理解がやや難しいボルドーワインであることに起因している。


というわけで、せっかくの記念日をよりよく過ごすために、誕生年ワインの選び方を書いてみる。
基本方針として、飲んだときに美味しくかつ印象的な味わいであることを目的として、年齢別・予算別に候補とその理由を書いていく。






基本方針  


可能であれば、相手のワインの好み(赤白・濃いか繊細か・どの国地域が好きか)を聞いてみる。
この好みをどう答えられるかで、相手がどの程度ワインに詳しいかがわかるので選択の手がかりになる。
赤/白ワインが好き、といった回答であれば余り詳しくないので、誕生年のような熟成ワインを飲んだことがある可能性は低く、飲みやすさを優先とした選択になる。
濃い・繊細といった回答なら、同じようなワインを飲み続けていることが多いため、好みに合わせた熟成ワインを選択できる。
ボルドーやカリフォルニアの赤といった回答ならある程度ワインに詳しいので、あまり飲まれない熟成ワインを選択するのが面白い。
ブルゴーニュのどの生産者のどの畑の何年がどうとか長々とうざいことを答え始めたら(僕のことだ)、その相手はかなりのワイン好きなので予算が3万を超えない限りワインをプレゼントするのは避けた方が良い。ケーキで済ませよう。


飲みやすさ・珍しさを考えると熟成シャンパーニュ、熟成白ワイン、熟成甘口が選択になる。
こうしたワインは香りや味わいが初めての経験になることが多く、比較対象となる経験が無いため悪く受け止められることは少ないと思う。
(特に熟成シャンパーニュはかなりワインに嵌まらないと飲むことがない)
赤ワインが好みと回答された場合に熟成赤ワインをプレゼントする場合、予算・熟成年数とかなり相談することになる。難易度が高い。


ワインショップのソムリエさんに相談しに行くと基本的に在庫の多いボルドー赤を進められることが多いので、それ以外を希望するのなら事前に伝える方が良い。
また、状態の不明なネットショップより状態の良い実店舗でソムリエに相談して買うことを強くお勧めする。
お勧め店舗はお勧め順に;
渋谷 東急本店 ザ・ワイン(ソムリエ・品揃え優秀・取り寄せも可能) http://www.tokyu-dept.co.jp/honten/
恵比寿 ラヴィネ(価格帯豊富) http://www.lavinee.jp/
新宿 伊勢丹グランドカーヴ ヴィンテージセラー(1900年代から在庫あり) http://isetan.mistore.jp/onlinestore/foods/wine/index.html






ビンテージチャート  


ワインは年によって出来の良さが異なっており、それは熟成年数と価格に大きな影響を与える。
輸入業者ファインズのものが詳しく、それ以前はラヴィネのチャートが参考になる。
http://www.fwines.co.jp/knowledge/vintage.html
※掲載されてない年は非常に悪かった年



良年と呼ばれる年のワインは価格が高くなり、熟成するのにより時間がかかる(その分良い熟成になる)。
悪年と呼ばれる年のワインは価格が安くなり、熟成するための時間も短くなる。
好きなだけ時間とお金を掛けられるのであれば良年であることは幸運だが、まだ若いときに良い経験をしたいのであれば悪年が良い場合も多い。
1つの年で地域毎に善し悪しがあるので、相手の年齢によってどの地域・グレードのワインを選ぶか良いかの方針になる。
(よく言われるXX年はグレートビンテージというのはほぼ間違いなくボルドーのことで、それ以外にも多くの地域や国がある)
例えば、1985年生まれの人はボルドーが良年、ブルゴーニュが普通となっている。
赤ワインであれば良年ボルドーの29年熟成は最上級のワインはまだ枯れ具合が弱いので3級以下のワインを選ぶ、もしくはブルゴーニュであれば良い生産者の特級畑・若しくは優秀な生産者の1級〜特級畑がよい熟成に入りつつあるので生産者に併せて畑の級数を選ぶ。


超おおざっぱな熟成の目安としては、各地域最上級のワインを選ぶとしてこの程度になる;
ボルドー赤:30〜60年
ボルドー白:20〜40年
ブルゴーニュ赤:15〜30年
ブルゴーニュ白:20〜30年
ローヌ赤:30〜60年
各種甘口:20〜60年






熟成ワインの取り扱い  


熟成ワインは通常のワイン以上に取り扱いに気を遣う必要がある。
(特に赤は)澱が沈殿していることが多々あり、また構成が複雑なため落ち着くのに幾らか時間がかかるためだ。
レストランで飲む場合、飲む日の2週間前にはレストランに預けておくのが良い。
当日持って行くと、澱が舞って本来の味が楽しめなくなる。
家で飲む場合、2週間セラーか冷蔵庫(冬以外)の中で立てて保存し、できる限り揺らさないようにしておく。
赤ワインの場合はできればパニエを用意しておく。
また抜栓はコルクが弱っている場合非常に難しくなる(コルクが途中で折れたりする)ので、二段式ソムリエナイフを使って事前に古いワインで練習しておくことをお勧めする。
熟成ワインの抜栓は本当に難しい・・・特に30年を超えると。








以下、年齢別・予算別におおざっぱなお勧めを掲載する。
Amazonリンクは参考程度に(ビンテージが合ってないものもあるし)
フランス以外に話を広げると大変なので、基本的にフランスからのチョイスにするが、ソムリエに相談するときはフランス以外でも印象的なものをと尋ねると良い。






20〜30歳(1994〜1984)  


一番選択肢が多く楽しい時期。


予算:〜5千円
味わいに深みの出ている甘口・白ワインで攻めるのが良いと思う。
フランス・ロワールのシュナンブランは軽く深みのある甘さ(白・やや甘口、桃と合わせる)
フランス・南西地方のグルナッシュは(赤・甘口、生チョコと合わせると最高)
フランス・ソーテルヌのハーフサイズ(白・極甘口、ホワイトチョコなどで)







予算:1〜2万
予算があるので、有名地域の良い熟成ワインを選択できる。
シャンパーニュブルゴーニュ一〜特級(できれば白)、甘口が優れた味わいを持つ。






予算:3万〜
その年の最上のワインが選択できる。
ブルゴーニュグランクリュの有名生産者(但しDRCはまだ若いかと)、ボルドーの一級シャトー(悪年に限る)、シャンパーニュのトップメゾンなど。









31〜50歳(1983〜1964)  


選択肢が少なくなるが、ボルドーやローヌなど濃い地域のワインが良い。
ブルゴーニュは特に良いワインが良いが高い。
但しローヌの熟成ワインは探すのが大変。


予算:〜5千円
甘口に加えて、お手頃熟成ボルドーが良い。




予算:1〜2万
ソーテルヌ甘口、ボルドーが選択肢に。
ブルゴーニュシャンパーニュでこのビンテージまで耐えられるものにはより予算が必要。




予算:3万〜
DRCを含むブルゴーニュの最上のワイン、ボルドー一級、シャンパーニュ










51歳〜(1963〜)  


選択肢が少なく、甘口中心に。
ポートワイン・マディラワインといった酒精強化ワインが候補に入りやすい。


予算:〜5千円
予算的に非常に難しい。
時折こういう掘り出し物があるが。。。
http://item.rakuten.co.jp/tamaki-web/13012227/


予算:1〜2万
ボルドー、甘口ワインが主な選択肢。
ジャン デュポンの作るブルゴーニュの赤があるが、味の面でお勧めできない。





予算:3万〜
ディケム、DRC、ボルドー一級(良年)、ポート・マディラが素晴らしい。
特にディケムが良い。



http://www.sp-mall.jp/shop/g/gW2-POR4-1232/