World Digger

ワインとかITとかとか。

ラノベアニメは現代オペラである


昨年オーストリア・ウィーンに旅行に行き、そこで初めてオペラを鑑賞してきた。
鑑賞した演目はガンスリ好きとして当然のようにトスカ。
「歌に生き恋に生き」の台詞がある、有名な恋愛物のオペラだ。
嫉妬、すれ違い、略奪愛、多くの虚偽、殺人、そして投身。
荒れ狂う恋心を描いたこのオペラは1900年に初演され、現代に至るまで116年ものあいだ上演され続け、愛され続けている。




僕はイタリア語もドイツ語も堪能ではないので、事前にAmazonでシナリオを翻訳した本(上演約2時間で118P!)を買いストーリーを暗記してからオペラ座に行った。





オペラ座の荘厳な、しかしお客さんは少しそわそわしているような雰囲気を楽しみつつ、上演がスタートした。
僕は普段ドラマや演劇は殆ど見ないので作品の魅力を十分に理解できていないとは思うのだが、歌手の演技や歌声は素晴らしく、激しく展開の早いストーリーはストーリーを知っていたとしても、とても魅力的なものだった。







オペラを鑑賞していてとても印象的だったのが、拍手のタイミングである。
上演後のカーテンコールはもちろんのこと、劇中でのいくつかの歌や演技の後にも大きな拍手があった。
多くの人が、演技や歌に対して、拍手をしていたのだ。
これは考えれば当たり前のことで、オペラは遙か昔からの作品を上映しているので、観客はストーリーを知っていることを前提として、それ以上のことを経験するために足を運んでいるのだ。




そしてこれはラノベアニメにも共通して考えられることでもある。
我々はMF文庫Jという偉大なレーベルを知っている。
http://bc.mediafactory.jp/bunkoj/special_link/index
主人公かヒロインが転校してきて、主人公が何か特別な力を秘めていて、ヒロインが次々に増え、ハーレムになってチュッチュする素晴らしい作品の数々。
彼らが先人というわけではないが、ISというライトノベルの金字塔として語り継がれている作品を生み出し、その影響で他レーベルも同様の作品を多く出版するようになった。
こうした小説はレーベルだけでなく、異世界トラックに跳ねられて俺TUEEEEするなろう作品など種類を多少変えながら、数多く存在する。





しかし、こうした作品は現在批判にさらされている。
「テンプレラノベアニメ」と纏めて称されて、テンプレであることが悪いことのように誹られている。
これは魔法戦争を全話鑑賞しその上原作も全巻読破したことは別に関係ないけど、僕としてはとても悲しい。
なぜなら、オペラと同様に、ラノベアニメはストーリーが売りではないことが理解されていないからである。




世の中には多くの作品があるが、作品の魅力はそれぞれ違った部分にあり、必ずしもストーリーが新しいことがその作品の評価となる訳ではない。
テンプレラノベにおいて今まで生み出されてきた、ルイズ(ゼロ魔)、シャルロット(IS)、エスト(ひゃん)、ユリエ(やー)、八神姉妹(DAL)、真理亜ちゃん(新妹)、ユイ(トリニティ)、千冬ママ(異能)、紐神様(ダンまち)、五十島(魔法戦争)といった魅力的なキャラクターは、間違いなく無味乾燥なテンプレートから外れた魅力の1つである。
キャラクター以外にも、一部の異常に力の入った作画や音楽などももちろん魅力があり、そして魔法戦争やワルブレ(今のこのスバのこの系統)といったメタ的な魅力もある。




我々ラノベアニメ鑑賞者は、そしてラノベアニメを批評する人々は、ストーリーという唯一の評価指標をもって作品に接するのではなく、より多くの多様な魅力があることを理解して、作品を理解していくべきである。





現在放映中の「最弱無敗の神装機竜《バハムート》」はテンプレラノベとの批判にさらされているが、妹のアイリが最高に可愛く、最新4話では一度も登場しなかった為つらくて思わず1話から見直したほどに最高に最高の作品だ。
そもそもアイリはEDの一枚絵に登場しないわけだが、これはつまりアイリは攻略対象的なヒロインではなく、すでに攻略済みの永遠に一緒の妻妹というわけで、この作品のメインヒロインといっても過言ではない。
もちろん愛らしいチョロインのリーシャ様や、ぱよぱよフィーちゃん、まな板ルシファーさん、そして未登場ながらも絶対にア○○が弱くて恋騎士出身のセリスさん(黄金のフリーダムに搭乗)も可愛い。









結論;
テンプレラノベアニメとは、次々と役者を変えながら上演する現代のオペラである。
オペラと同様に、ストーリーだけでなく、キャラクターや演出や音楽も楽しみましょう☆





なお、前期やっていた落第騎士の英雄譚はテンプレラノベに見せかけたスクライドなので、アニメ・原作(トーナメント終わった!)ともに大いにおすすめです。