その3にして最終回にしたいところ。
/日本酒にワイン(ブシャールのシュヴァリエ・モンラッシェ2013)を合わせるという、料理はどこに行ったんだマリアージュで丸く解決・日仏友好! 華やかな軟水の厚い層を、香る硬水がゆんわりと浸食し、融合するという飲み合わせで美味しいです。
なお、tweetの引用の問題?で@vino_cavolfiore さんを巻き込んでしまって、ごめんなさいです。
そもそもワインの値段を議論はしていませんよ。
— 本田雅一(本人未確認) (@rokuzouhonda) August 22, 2018
それにブログではないのだから、当初より「僕の意見」ではなく取材記事です。取材先はKura Masterに関わっている方々ですね。審査委員長を含め。審査員のリストも明示されているかと。コンクールを運営しているのは宮川氏ですね。
「(前略)さらなる価格高騰が起きた。そこで、料理に合わせて世界中で醸造されているお酒を合わせていこうというムーブメントが起き、その中のひとつとして“日本のコメから造る醸造酒”日本酒が受け入れられる土壌が生まれた。」と元記事にあるので、値段の話はしているし、それが要因(の1つ?)でムーブメントが起きたというのが元記事の主張では。
僕は別にライターの意見をどうこう言っているのではなく、記事に書いてあることの正誤について書いており、その内容からライターの評価をしているに過ぎない。
また、こうして取材対象にある種の責任転嫁をしようとしているのは、ライターとしてどうなのだろうか(と書くと、責任転嫁しようとしている訳ではないと言われるのだろうが)。
価格の話は議論が拡がるきっかけとして、こういうことがあったという話をしてくれたということです。そこは主題ではないと思いますが。日本酒がフレンチにはほとんど使われていなかったのが、料理の変化で合わせにくいケースが増えてきたのが、このコンクールの意義だというので背景を尋ねたという流れ
— 本田雅一(本人未確認) (@rokuzouhonda) August 22, 2018
価格云々はもう主張されたい内容が良く分からないので置いておく。
以降の記述は否定する部分は何もないし、トレンドへの着目として素晴らしい。
日本酒がワインを置き換えるとか、7要素のひとつでもあるとワインは超絶的に合わないとか、ワインは合わない料理が多すぎるなども書いていません。単に5つ星ホテルや三つ星、二つ星レストランが日本酒をオンリストしはじめてるのはなぜ?という疑問についての彼らの話
— 本田雅一(本人未確認) (@rokuzouhonda) August 22, 2018
ストローマン(藁人形論法)。
相手の意見を極論として表現することで、自分の正しさを作ろうとする議論の仕方。
僕はこの前半部分に書かれているようなことを、書いた覚えはないので、この反論は意味が無い・悪意のあるもの。
正面からの反論は今のところ無い。
なので、なんでそんなに攻撃的になるのか、サッパリわかりません。僕自身、ワインに多様性がないなんて思ってもいないですし。あと「愛好家」と「フランスのソムリエ」で上とか下があるとは思っていませんよ。プロだって浅い人はいるでしょうしね。
— 本田雅一(本人未確認) (@rokuzouhonda) August 22, 2018
ワイン好きとして、「ワインはXXがダメ」と事実と異なることを言われたので、怒っている部分はある。
ただ、基本的に事実関係に基づいた突っ込みをしているだけで攻撃的と表現するのは、その事実関係から目をそらせようとする意図もあるのだろうが(この書き方は攻撃的だ)、残念。
「上とか下」については、元記事からの流れで反論してきた愛好家に「現場に聞かないと分からないし、一流レストランのソムリエがこう言ってる。愛好家とは違う」という書き方をすれば、「一流」レストランと書いていることも相まって、「上とか下」に書いている、マウンティングしていると解釈するのが素直な解釈では。
取材した上での話だから、職業で選ぶ人と愛好家は基準が違うのかな?とは思いましたから、そう書きましたが、愛好家は”好き”という気持ちが持ちべーションなだけに、知識や経験としてプロを上回ることが多いのは当たり前のことでしょう。別にバカになんかしてませんが
— 本田雅一(本人未確認) (@rokuzouhonda) August 22, 2018
まあ段々分かってきたんだけど、自分の発言がどう捉えられるかを分かっていない(客観視できていない)と、こういう考え方になるのかもしれないですね。
フランスのフレンチレストランで日本酒消費が増えてるのは嘘、彼らが日本酒を知ろうとコンクールを自ら主宰してるのは嘘、ワインより日本酒が得意とするフレンチなんてない、審査しているソムリエやシェフが日本酒の方が合うとい言ってるのは嘘、といのなら記事が出鱈目というのもそりゃそうだだけど
— 本田雅一(本人未確認) (@rokuzouhonda) August 22, 2018
これもストローマン的。
僕は「「フランス料理に日本酒」が増えている理由」(理由の内容部分)が出鱈目だったので、そう書いたに過ぎない。
「理由が出鱈目」(他にも色々間違っている部分がある)なので、あのタイトルとしただけだ。
あと、僕が誤って意図を伝えていると思い込んでいる印象もあるのだけど、取材記事なので事実確認は当然、取っていますよ。
— 本田雅一(本人未確認) (@rokuzouhonda) August 22, 2018
事実確認を取っているのか、取材相手に確認を取っているのかでずいぶん話は違ってくる。
本筋ではないが初歩的なレベルの部分なのでピックアップするが、元記事の「ワインは開栓後、2日以内でなければプリザーバーなどを用いても劣化してしまうが」は本当に事実確認を取っているのだろうか。
少なくとも日本のソムリエ/ソムリエールであれば、こんなことを言う人は滅多にいない(僕は会ったことがない)。
なので、そうした僕にとっての常識を考えれば、ライターがソムリエ達の説明をよく分からずに書いているのかな?という疑問が起きる。
日本で一般に飲まれてるワインは画一化されていてそれをワインと思っている人もいる印象はあります。実際には多種多様で驚くほど味わいの幅はある(イタリアの田舎の小さな蔵とかは好きですね)けれど、世界で最も飲まれてる食中酒はワインだと思うし、それが主流ではなくなってるなんて思ってませんよ
— 本田雅一(本人未確認) (@rokuzouhonda) August 22, 2018
一般に飲まれている、をどのレベルで解釈するかは難しいところだが、例えば大手ワイン生産者のサントリーや、実店舗数が恐らく最多のエノテカのラインナップを見ても、ワインが20~30年前(ドイツ甘口とボルドーとキアンティの時代?)からずいぶん多様化している。
https://www.suntory.co.jp/wine/brand/index.html
ワインの種類としては、最近のマーケティングを見ても肉ワイン、ビオワイン(自然派ワイン)、サングリア、安い動物ワイン系など。
国としてはチリ、スペイン、南アフリカなどがかなりメジャーなところに出てきた
「安くて美味しい色々な種類のワイン」が色々流通しているのが現状で、例えばワインショップの売り場を見ても、一般的に画一化されている印象は全く無い。
「イタリアの田舎の小さな蔵」は確かに多様な味わいを持つ。しかし、ワインの多様な味わいを知りながら「ワインが不得手とする「7つの要素」」と書く考えの流れは理解しがたい。
恐らく、色々な味を知っていてもそれを整理できていないか、そうした知識・経験を元に取材内容を理解できていないのではないだろうか。
そして僕は一度も「ワインが主流ではなくなってるというのは出鱈目だ」といったことを書いた覚えはない。
追伸ですが、フランスで行われてるフランス人によるフレンチレストラン向け日本酒コンクールの話なので、現地のソムリエやシェフの話を中心にすることが、日本の専門家や愛好家の意見を馬鹿にするとは思えません。なぜバカにされていると思うのでしょう。彼らは自分たちで使う酒を選んでいるだけですよ
— 本田雅一(本人未確認) (@rokuzouhonda) August 22, 2018
まず前提のズレがあり、僕は馬鹿にされたとは一言も書いていない。
現地のコンクールの話については、事実誤認以外には特に思うことはない(一応書いておくと、日本酒が海外で広まるのは良いことだと思っている)。
「愛好家と「一流」レストランのソムリエは違うよね」というマウンティングは馬鹿にする書き方だよね、とは思うけど。
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書いていて割と悲しくなってきた。
(記事を見る限り)ワインも日本酒もよく分かっていないソムリエが言っていることを、よく分かっていないライターが取材し、内容のおかしな記事ができあがって、割と大きなメディアに掲載された、といったのが今回の話だったのかな、というのが現在の印象。
初学者に対しての書き方としては、僕の書き方は厳しかった/マウンティングしている要素も多かった、とは反省。
ワイン業界のメディアが、世の中でまだ弱い問題でもある。
ワインに詳しい人は基本的にオタク性質なので(僕もだ)、全く知らない人に簡潔に説明するのではなく、長々と(相手にとって)意味不明なことを書くことが多く、結果として適切な知識が広まらない。
また、オタク業界らしく、マウントを取ろうとする人も多い。
(知らない人相手に今回の僕の記事のようなものを書けば、嫌われるのは分かる)
そうした中で、簡潔に言い切るような記事は、内容がどうであれ嚥下しやすいものなので、大きなメディアにも採用される部分があるのかな、と思ったり。
もちろん色々頑張っているサイトは多く、昔よりは良くなっているが、それでもまだ誤解や間違いが広く残っている。
専門性とわかりやすさの話としては、WELQ問題に近い物だと思う。
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余談、(僕の一連の記事についての)はてブのコメントについてちょっと返信。
>ソムリエを欺くことなんて簡単だ:研究結果
https://wired.jp/2013/03/29/how-to-taste/
「ワインの専門家たちは簡単にだませる。ボルドー大学でワイン醸造学を勉強している54人の学生」この一文で既に疑問符がつくし、学生はソムリエではない(そしてフランスでソムリエになるのは難しい)。
視覚(色やラベルや価格)による情報が味に影響を与えるのは、平均的には間違いない。
一方で、平均的にそうだからといって、個々人がそうだとは限らない(平均的なはてなーが1日100ブクマするからといって、あなたがそうではないように)。
この研究は多少の示唆があるが、多くの欠陥を抱えている。
また、ブラインドで飲む/食べることなんて、基本的にないし、視覚情報参考にする(それに引っ張られる)のは本質とはあまり関係が無いと考えている。
>格付け方式のブラインドテスト
色々と難しいところで、
・ワインに詳しいかと、ブラインドテストの正答率が高いかどうかは別
・ブラインドテストもTVのように安いのvs高いのなら、個人的には割と容易。7割は当たるんじゃないかな。
・一方で神の雫のような完全ブラインドで「どこのなんてワインの何年?」はそもそも激ムズ。また回答としても「スペイン・リオハのテンプラニーニョ」と答えたら「2015年のフランス・ブルゴーニュ・ヴォルネイ、コントラフォンのピノ」が正解だった時に、部分点をどう評価するかが詳しくないとできず、知らない人には「間違ってるじゃん」で終わる。実際先日のブラインドでこう間違えたが、日本有数のソムリエからは(少し優しく)ほぼ正解と言われた。
・個々人の好み・好きな範囲・得意な範囲が違う。例えば僕はボルドーを殆ど飲まないので、そうなると多分殆ど外れる。
・多分、誰か人の要望を聞いて、それに合わせて料理とワインとサービス(ワインの説明を含む)をする、というのが、今回のような問題への対応を比較するには良いのかもしれないのですが、うーん、明確な回答は出せないです。
参考に:
第15回A.S.I.世界最優秀ソムリエコンクールより 今、ソムリエに求められていること | The Cuisine Press WEB料理通信