World Digger

ワインとかITとかとか。

アロケーション縮小/レアリティ商法増加に伴うSKU増大と、その管理コストの増大

全くもってソムリエ?っぽくない記事タイトルだが、ブルゴーニュ2021VTやRMシャンパーニュの増大において、これは大きな問題となっている。

現象としては「まったく役に立たない横線だらけのワインリスト」の発生である。

 



・原因について

まず、ブルゴーニュ2021VTは天候によって圧倒的に生産量が減少した。

従来は12本単位で購入できていた銘柄が1,2本レベルになり、結果様々な生産者の様々なワインを購入しなければ供給が追いつかなくなっていた。

1SKUで12本在庫していればよかったのが、8SKUでようやく12本揃うようになったのだ。

 

また、シャンパーニュについてはRMの人気が増してきているなかで、彼らの不必要なまでの多ロット・少量生産が問題になってきている。

従来のNMでは6~8SKU程度で価格幅もあったのが、RMは8種類以上のキュヴェを狭い価格帯のなかで揃えることが多い。

トリスタンイエストなど、VIVIDさんが取り扱うRMの銘柄とラベルと価格をきちんと把握しているソムリエはどれだけいるのだろうか? 僕はもう諦めた。

狭い価格帯の中でSKUは増え、そして生産量が少ないので1SKU当たりの在庫も1~2本となっている。

 

トリスタン・イエスト Tristan Hyest - シャンパーニュ専門店 マチュザレム
https://mathusalem.jp/?mode=grp&gid=2344725

 

・さてどうなるか?

顧客がついているお店であれば、幾らの価格帯のどんなワインが売れるか見えているので、当然それに対して仕入れを行う。

ワインセラーが200本入るとして、フレンチであれば今までは60SKUで200本在庫し、売れる価格帯の銘柄は12本づつ仕入れて月次でワインリストを更新すれば大丈夫だった。

しかし、前述の2つの原因により、従来と同じ需要を満たそうとすると140SKU程度に増やす必要がでてきた。

 

 

・ワイリスト横線ばかりなんですけどー?

「よく出るボトルワインは12本仕入れて売り切れたら次の銘柄で」というやり方はもはや通用しなくなり、よく出る価格帯のワインを8種類くらい用意しておいて、売れたら横線を引く・・・しかし横線が多くて見栄えが悪い、というのが現状陥っている話ではないだろうか。

「申し訳ございません、ルフレーヴ2021ブルゴーニュ・ブランは先日売れてありませんでした」と注文した顧客に伝えることは多くなってきていると思うが、それは顧客体験としてはかなり悪いものだ。

ワインリスト管理の手間は増し、また銘柄が増えたためリストとのページは以前より増えてwordやExcelでデータ管理をせずにリストを作成している店舗は棚卸しをしないと正確性が担保できなくなっているだろう。

(Excelのピボットテーブル管理が最低限必要な水準になってきている)

ソムリエもセラーの把握が難しくなり、細かいSKUをラベルで見分けるミスは発生し(裏ラベルをチェックしないとDégorgement違いのボトルを管理できない!)、誰が何を売って何が残っているか、闇の中にいる状態になっている。

ソムリエがいればリストがいらない? それはカウンター店舗での話でしかなく、またお客様からもらったワインで記憶は飛ぶ。

 

 

・じゃあAppで管理?

ワインを管理するAppは幾つかあり、ある程度は使いやすい。

しかしながら、そのカテゴリーやソート順がいまひとつで、在庫本数に合わせてカテゴリを変える柔軟性が無い(例えばブル赤が15本しか無いのに、村毎にリスト表示されるととても読みにくい)。

Excelで処理してからリスト化するなら良いのだが、それなら手間的にはあまりAppを使う意味はない。

そして、Appから吐き出されるデータをどうお客様に見せるかが問題となる。

そのままwordに貼るか、エクセルに貼るか、見やすさやレイアウト、ページ数をどうするか。

一番デザインに向いているAdobe illustratorは飲食店で使うにはコストが重いが、しかしながら一番向いていてこれが一番読みやすい。

UXの改善に伴う売上アップなんて、エンジニアやっていれば常識だが、ソムリエにはそうした常識が欠けているのでいつまでも顧客が見にくい酷いワインリスト(UX)を提供していることが多い。

 

・どうするのが良いのか。

Appで入出庫管理して、Excelで整形して、illustratorでレイアウトするのが一番楽でUXが良いリストを作る方法だと思う。

AppはAppが規定するレベルの管理しかできないので、それ以上何かしたいのであれば自分でDBを構築するのが良い。Excel+ PowerQueryですぐにできる。

Excelの整形はVlookupとピボットテーブルが。なんらかの処理をしたいならVBAも追加。

illustratorのレイアウトは手間を考えなければ手動でいいが、スクリプトで自動化したほうが良いので、ある程度JavaScriptを書けると便利になる。

ここから紙の選定や印刷などの物理層があるが、それは今回は省略。



 

ということで

今後もSKUの増大が増え続ける限り、ソムリエはこうしたITスキルがあるかないかで「顧客が信頼できるワインリスト」が維持できるかどうかが全く変わってくるだろう。

 

ちなみに、大量に買えるワインを大量に買えるからという理由で買う手もあるが、それは管理コストを下げるために味を下げているので、ソムリエとして最低だと思う。

 

 

 

・余談

Appから吐き出したcsvを整形するExcelは作成した

僕の見ている店では、多いと月20回程度ワインリストを更新している。リストには横線はひかれておらず、リストに書かれたワインはセラーにあり、機会損失を無くしている。