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何をするべきではなく、何をしないべきか。 「強さと脆さ」タレブ

強さと脆さ  ナシーム・ニコラス・タレブ (著), 望月 衛 (翻訳)
http://www.amazon.co.jp/dp/4478013845


ちょっと出版から間が開いたけど、読了。
まぐれ、ブラックスワンで主張した内容についての、補足/反論への反論/そもそもの話。
相変わらず文体がめちゃくちゃなので、好みが分かれる。
「判断不能性定理」の為、予測することが出来ない「第四象限」をどう扱うか、についての哲学的な考察。
余興でボラタイルな健康法などについて。
根本的な部分は以前の主張(というか哲学)と変わらず、金融用語が減り、より哲学的になっている。
タレブの考えのエッセンスを知るために、まぐれ、ブラックスワンを読む前と後に読むと良い一冊。


経済学/金融工学/計量経済学実体経済の捉え方自体に問題があり、幾ら(精密な)モデルを構築しようと意味がない。
それらは適切な認識/統計処理の選択がされておらず、現在広まっている多くの理論が基本的に役に立たない。
第四象限=発生する確率の低い事象が多大な影響力を持つ場所での、行動指針=〜するな。


この本を読むと、非線形科学/統計についての理解と、実体からそもそもを考える(哲学的と言うべきか)態度が、
あまりにも巨大で複雑になりすぎた現代社会/実体経済と付き合うために、いかに重要か気づかされる。




備考;
タレブhp
http://www.fooledbyrandomness.com/
訳者後書きで書かれている幾つかの論文が掲載されている。見づらい・・・


訳者後書きは、内容は面白いが、本文に影響されているのか適切な文体ではないと感じた。


P175、「統計学の循環性」についての注釈が間違っている(最後の1文)。
 本文:「これでは深刻な循環論に陥ってしまうが、臆面もなくガウス分布やその親戚に頼れば何とか回避できる。」
これは、「これでは深刻な循環論に陥ってしまうが、臆面もなくガウス分布やその親戚に頼れば何とか回避できたように見せかけることが出来る」とあるべきではないだろうか。
真に回避できていないのであれば、回避できると記述するのはおかしいかと。